前回までの工程は…
外壁の下地塗装工程でした。
後続の本塗装工程までまだ少し時間がかかるとのことですが、それまでの間並行して別の工事も進められています。
工事スケジュール表を見るとこんな表記が…
実は私、鉄道好きなんですよ。家にこんなのがあります。
家にミニSLを作ってくれるのか!
とはさすがに思いませんでしたが、この工事何をするのか?
今回はSL工事についてレポートします。
SL工事って何?
そもそもSLとは、Steam Locomotiveの頭文字をとって蒸気機関車を指す…のではなく、Mercedes-Benzの2シーターオープンスポーツのクラス名でもなく、Self Leveling(セルフレベリング)の略です。
セルフレベリングって何?
『セルフレベリング工法は、上塗り材(セルフリベリング材)を流し、平滑な床下地面を作る工法のこと。原理的には、石こう/モルタルのスリラー状液体(セルフリベリング材)を床面に流し込み、スリラーが自然に流動して平になる性質を利用して、平滑な床面を施工するもので、メリットとしては熟練左官工を使うことなく平滑な床に仕上がる/施工速度が速いなどが挙げられるが、他方、反面耐水性・表面強度が不十分/モルタル塗り金ゴテ押さえに比べ値段が高いなどの問題もある。ちなみに、小規模実験を繰り返すことで、これら課題は改善済みとされる。』
引用:『施工の神様』、セルフレベリング工法とは(参照:2020年11月15日)
ということで、大雑把に言いますと、水平な床を作るために水の様に滑らかなモルタルを流して、液体の水面が水平になる性質を利用して水平面を作る工法です。
詳しくはこちらも参考に…
2020年以降のヘーベルハウスFREX Axiiiでは、床施工の際にこのSL工法を使って水平床を構築します。
ヘーベルハウスのSL工事
早速、我が家で施工されたSL工事の様子をレポートしていきます。
なお、監督に「SL工事って、線路でも引くんですか?」と聞いたら、「セルフレベリング工事です。すいません、略して書いてまして…」と、勿論知っていると言わんばかりに回答されました。はい、知りませんでした。そういう工法あるのね…聞いた後ぐぐったもの(笑)
SL工事前の水密下準備
SL工事をする前に、色々と下準備が必要です。
前のセクションでも説明があったように、水の様にさらさらとしたレベラーと呼ばれるモルタルを流し込むわけですから、つまりは液体です。
液体が流れないように、隙間をまずは塞ぐ必要があります。
というわけで、左官職人さんが室内で作業を始めました。
何をやっているのかと近づくと…
先日の断熱施工の際に、壁際の床に部分的に貼っていたスタイロフォームと、床へーベルの間をモルタルで埋めていました。
そう、こうやって水密処理をしていたんですね。
何でスタイロフォームを壁際だけに施工していたんだろう?と思っていましたが、なるほどこういう理由ですか…
床に穴を空けて通している配管の隙間もモルタルでしっかりと埋めていきます。
階段室の吹き抜けになっている部分の際には、目地木材を打ち付けてモルタルで隙間を埋めていきます。
プライマー散布
セルフレベリング剤はモルタルの一種ですので、床材ときちんと接着させるためにプライマーを事前に撒く必要があります。
プライマー液を如雨露で床全体に散布しておきます。
セルフレベリング剤の散布準備
セルフレベリング剤は専用のミキサー車で材料を調合して、ポンプで流し込みます。
施工日昼頃にはミキサー車が登場しました。
セルフレベリング剤は、宇部興産建材さんの製品を利用しているようです。
余談ですが、宇部っていうことは山口の会社なのかな?と調べたら、親会社が本当に山口県の宇部が発祥のようですね。あ!私の先祖は仙台藩士だから、元敵の長州の会社じゃん!(笑)
小ぶりの専用ミキサー車に材料と水を入れて、セルフレベリング剤を撹拌していきます。
この車からホースを延ばして、3階まで引っ張り上げていきます。
施工作業
実際の施工に入っていきます。
まずホースの先にはバケツが…
これは、ホースの中に残っている水やカスが最初に出てくるので、バケツで最初の液体を受け止める様です。
準備ができたら早速施工です。
部屋の奥から順番に、ホースから直接レベリング剤を流し込んでいきます。若干とろみのある液体で、ホースから吐き出されたレベリング剤は滑らかに広がってゆきます。
職人さんは均等に流れるように移動しながら撒いていきます。
実に綺麗に、そして壁際のスタイロフォームを溢れない絶妙な量で広がってゆきます。
厚みをある程度想定した配合があるようで、左官さんとミキサー車の方で配合量の調整について事前に会話をしていました。
このように表面は綺麗な水面です。左官職人が鏝でモルタルを均すよりも遥かに施工が早いですね。
3階が終わったら、次は2階にも施工します。
実に綺麗に施工されました。
今回、1階だけは施工されなかったのですが、1階については分厚いスタイロフォームを敷くらしく、SLは実施しないとのこと。
この状態で1日乾燥させた翌日は、このようになっていました。
表面の水っぽさがなくなり、まだ湿気をたくさん含んだようなモルタルの平面となっていました。どれくらいの期間乾かすのかは聞いていないですが、この状態になってから大工工事が始まるようです。
壁際のスタイロフォームとの差はこんな感じになっていました。
まとめ
以上、SL工事の全容でした。
この施工自体は1時間もかからずに終わってしまいましたが、事前の水密処理やレベリング剤の調整、ミキサー車の調整などの方が余程大変だと左官職人さんは仰っていました。
気密性に難点がある鉄骨住宅ですが、床はこの通り水密がしっかりした施工がされているんですね。
こんな施工はなかなか見ることはできないので、貴重な経験をさせてもらいました。
職人の爺さんが「面白いから見ていきなよ!」って、若干邪魔であろう場所でわざわざ見学させてくれたことを心から感謝したいと思います。
次回は、内装工事開始編となります。
お楽しみに。