前回までの工程は…
鉄骨柱に対して耐火施工を実施しました。
本日はいよいよ断熱工事ということで、今回も現場密着レポートをしてきました。
同日予定されていた、外壁への吹き付け塗装については、担当業者が前の現場が終わっておらずということで延期となりました…
ヘーベルハウスの断熱
ヘーベルハウスの最近(2020年11月記述時現在)の断熱構造は、『ヘーベルシェルタードダブル断熱構法』という仰々しい名前のモデルになっているそうです。
ZEHに対応できる様に、断熱構造を見直したということで、この構法が採用される前はどういう断熱設計だったのかは気になりますが、この「ヘーベルシェルタードダブル断熱構法」とは一体どんな断熱施工がされるのか。
我が家の断熱工事が実際どういう工事だったのかをレポートしていきます。
ヘーベルハウス標準断熱材であるネオマフォーム
ヘーベルハウスはご存じ「旭化成」の住宅部門です。
旭化成は化学企業であり、建材等も作っていますが、流通している断熱材として最高レベルの性能を持つ『ネオマフォーム』を開発した企業でもあります。
そのため、ヘーベルハウスではメインの断熱材としてこのネオマフォームが採用されています。
鳥取県でHEAT20 G2以上の性能を持つ家しか建てない工務店である『やまのすみか株式会社』様
こちらの、田上知明社長から「ネオマフォームの特徴」を端的に解説してもらったので、リスペクトを込めてそのまま転載します。
合成樹脂であるフェノール樹脂を発泡させたものです。ネオマフォーム、フェノバボードという商品名で、実用化しています。流通しているなかでは最も性能の高い断熱材であり、他のプラスチック系断熱材(ポリスチレン、ウレタン)と異なり、熱に強く燃えにくい性質があります。一方で水に強くありません
— 田上知明@やまのすみか株式会社 (@yamanosumika) November 9, 2020
硬質ウレタンの1.2倍、3種押出法PSの1.4倍、高性能グラスウールの1.9倍(=GWの100mmとネオマフォーム53mmが同じ)の性能ですが、【性能あたりの単価】にするとかなり割高で、同じ性能であれば価格はGWの4倍、押出法PSの2倍程度します。厚みをとれないが、性能が稼ぎたいときに使うことが多いです
— 田上知明@やまのすみか株式会社 (@yamanosumika) November 9, 2020
田上さん、ご解説ありがとうございました。
田上さんにはTwitter上で断熱施工の諸々を色々と教わったりとお世話になっております。鳥取で性能の良い家を探している人は、やまのすみかさんも是非検討してみてください!(勝手に宣伝)
以上の通り、ヘーベルハウスでは断熱性能の高いネオマフォームをメインの断熱材として採用しているわけですが、世間ではヘーベルハウスは寒いという声が多いのも確かです。
その辺は、カタログスペックと図面から実際に計算してみたことがあるので、興味がある方は以下の記事もご覧ください(このブログにしては珍しく真面目に書いています)。
ヘーベルハウスの断熱施工レポート
前置きが長くなりましたが、早速施工内容をレポートしていきます。
施工にあたって、先週ネオマフォームが大量に入荷されました。どーん。
さて、これをどうやって施工していくのか…
壁へのネオマフォーム貼り付け
まず最初に、壁へのネオマフォーム施工から開始します。
ネオマフォームを張る前に、事前に壁に下地材を打ち付けていきます。この写真の白いやつですね。
厚さは5mmくらいでしょうか。
この下地材を入れることで、壁へーベル版とネオマフォームの間に通気層を作るそうです。
この上からいよいよ、ネオマフォームを張り付けていきます。
ネオマフォームは板状になっているので、複数枚の板を壁のサイズにカットして並べていく訳ですが、ネオマフォームとネオマフォームの継ぎ目には以下の防水気密テープを使って、継ぎ目をテープ留めしていきます。
こんな感じで、隙間がないように貼っていきます。
一部換気口などの配管部分は、隙間が出ないように気密テープでしっかりと留めています。
このように一通り壁に貼り終えます。この時点ではまだ固定はされていません。
ネオマフォームを壁に打ち付け
次に、壁のサイズに合わせてベニヤ板をカットしていきます。
このベニヤ板ですが、パッケージに「厚木」と書いてあり、神奈川県厚木市産かと思いましたが、厚い木って意味でした…
さて、このカットしたベニヤを壁に打ち付けて、壁とネオマフォームを固定していきます。
この打ち付けに使う釘は、ALCへの打ち付け専用の釘を使っています。
吹き抜けの梁を覆う
階段って、実は吹き抜けなんですよ。階段があるから開放感がないだけで。
この写真の通り、上階と下階の間には梁がこのように露出しています。
先ほどリンクした記事にも記載しましたが、鉄骨住宅はこの鉄骨部分がヒートブリッジになります。
ヘーベルハウスでは、階段室含む吹き抜け部分の梁鉄骨はネオマフォームで包むように断熱施工を行います。
まず、I型の鉄骨の上下にネオマフォームを貼り、凹の部分にもネオマフォームを貼ります。
この状態だと、線路の様に鉄骨が一部むき出しになっているので、更に上からカバーするようにネオマフォームの板を乗せます。
完成形はこのようになります。
なお、この処置は外壁に面している梁の吹き抜け壁部分にしか行わないそうです。
ヒートブリッジ対策としては、本来は外壁とこの鉄骨の間に断熱材を入れて外断熱とした方が効果が高いのですが、ヘーベルハウスの構法上の都合から、この部分は内断熱となっています。
写真右側のむき出しの梁がありますが、ここはこのままです。本来ならばすべての梁をこのように包み込む方が断熱効果は高いのですが、コストの都合なのか室内側の梁にはこのような断熱は行っていません。ヘーベルハウスの断熱設計上の弱点の一つと言えると、建築環境工学を履修した私は思います。まあ、川崎市では氷点下になることは滅多にないので、このヒートブリッジ部分が極端に断熱性能を落とすこともないのでしょうが…北海道なら躯体結露の原因になってしまうかもしれませんね。
外壁に面する梁の断熱
吹き抜け部分ではなく、天井が来る部分の各階の天井梁の断熱施工を見ていきます。
ここで登場するのはグラスウールとなります。
旭ファイバーグラス社製のアクリアネクストという高性能グラスウール(以下GW)を使っています。具体的な性能に興味がある方は以下の公式ページをご覧ください。
さて、このGWはどこにどのように使うのかというと…
こういった外壁に面する梁に、室内側から断熱を行うために使います。
実際の施工を見ていきましょう。
まず、梁に沿って位置決めをして、天井のへーベル版にビス打ちをして行きます。
天井へーベル版とGWを留める場所にベニヤを当てて、釘で打って固定していきます。
ベニヤで固定したら、梁を包むように下側を梁と壁のネオマフォームの間に押し込み、気密テープで隙間なく留めていきます。
この作業を外壁沿いの梁に行っていき、最終的にはこのようになります。
上の写真を見ていただくとわかりますが、外周側の梁はGWで包まれていますが、室内側の梁はそのままです。
この梁がヒートブリッジ化して室内の熱を奪うことになるのではないかと気になるところですねぇ…もしかしたら、天井を貼るときに何かしらの断熱を行うのかもしれないので、今後の工程で要注目したいと思います。
軒下梁の断熱
我が家は3階にバルコニーがあるので、2階の一部が軒下となっています。
以下の写真を見てください。
この部分、バルコニーの軒下になるのですが、3階の室内側になる左側の梁にはGWを施工していますが、外壁側になる右側の梁にはネオマフォームを貼りつけているだけで、GWでカバーしていません。
図面上、どうやらここには軒天工事の際にロックウールで断熱施工をすることになっているので、ネオマフォームでもGWでもカバーしていないようです。
ロックウールはどのように施工されるのか、今後注目していきたいと思います。
斜め屋根の断熱
我が家は北側斜線規制の都合で、一部が切り欠き屋根となっています。
この切り欠き屋根の部分の断熱がどうなっているか…
この通り、ネオマフォームもGWも貼られていません。
ここの構造は、斜めの鉄骨にへーベル版を置いて、へーベル版の上に木質繊維断熱材のボードを敷いて、その上から防水シートとスレート屋根を施工しているそうです。
職人さんから聞いたのですが、ZEH仕様にするとこの斜め屋根の内側にもネオマフォームボードを張り付けるようですが、我が家はZEH仕様にしていないので、ネオマフォームは貼られないようです。
軒下同様にロックウールを入れ込むのかもしれませんが、本日の断熱工事ではここは施工対象外とのことでした。
実はこの部分が断熱上の弱点になるかもしれませんね。
壁と床の接地面への断熱
壁と床の接地面は隙間風の温床となる部分です。
ヘーベルハウスではここにスタイロフォームを置くことで、この隙間を埋める工夫をしています。
今回の施工では壁際にしかスタイロフォームを設置していませんが、後工程でへーベル版の床の上にスタイロフォームを敷き詰めるそうです。
1階床は更に分厚いスタイロフォームになります。基礎下が地面なので断熱性能を高めるために1階だけ厚くしているようです。
玄関の上がり框が凄い高低差になっています。
気流止め
高気密・高断熱住宅では当たり前の様な気流止めですが、ヘーベルハウスでも気流止め施工を行っているんです。
以下の写真をご覧ください。
これは、2階にあるユニットバスが入る部分となります。ここは床レベルが少し下がっています。
これを1階から見るとこんな感じで天井が下がっています。
この下がり天井と1階壁の間に、気流止め施工のために気密フィルムを施工していました。
水回りの湿気を伴った空気を1階に入れないための設計でしょうかね。
この部分の他には、階段室の梁部分にも気流止めを施工していました。ここは吹き抜けだからですかね。
まとめ
以上、ヘーベルハウスの断熱施工のレポートでした。
一部、ヒートブリッジ対策として不足しているのではなかろうか?という部分はありましたが、神奈川県南部ならそこまで性能的なウィークポイントにならないのかしら?と思いつつも、もっとしっかり断熱を行うならその部分は課題だろうなと思ったのが率直な所です。
今回も職人さんが快く工程を見せてくれまして、非常に楽しく現場を見学できました。ありがとうございました。
時間が空いたのでこんな落書きをして、我が家の守護神を勝手に増やしました。
元ネタはこちらです。
次回は配線工事か外壁吹き付け塗装か…予定が狂ったのでどちらが先かはわかりませんが、どちらかのレポートになります。お楽しみに!