前回までの工程は…
防水施工でした。
本日は、鉄骨柱への耐火施工が実施されたのでその様子をレポートします。
耐火性能
このブログで何度か取り上げていますが、木材と鉄骨は素材としてどちらが強いのか?というのは度々話題に上がります。
同じ容積の木材柱と鉄骨柱で比べれば、打撃や折り曲げ強度という観点で言えば確かに鉄の方に軍配は上がりますが、素材としての強さというのはそう単純なものではありません。そもそも性質の違う物質同士で比較する場合は条件を揃えて比較しないと意味がないことです。
鉄と木の強度の違いについて詳しく記述を始めると非常に長くなるので、今回は耐火性能について簡単に触れます。
まず結論から書きますと、鉄骨の柱と木の柱はどちらが火事に強いか?
答えは木の柱です。
木材と鉄の耐火性比較
まず、以下のグラフをご覧ください。
http://www.kiwoikasu.or.jp/upImages/uploader_examiner/pdf20170531162833.pdf
『一般社団法人 木を活かす建築推進協議会』様から引用いたしました。
鉄は熱に弱いです。
これは紛れもない事実であり、鋼材は摂氏350度程度で弾性限界荷重が約半分になってしまいます。
911テロ事件で世界貿易センタービルが火災によりビル全体が一気に崩れてしまったことを記憶されている方も多いかと思います。
上記のグラフの通り、鉄は木材と比べて急激に強度が低下していくのが解ると思います。
その点、木材は燃えてもまずは表面が炭化することでゆっくりと燃焼が進むという特徴があり、一気に強度が落ちないという特徴があります。
つまり、鉄骨住宅と木造住宅を比較すると、火災が起きて燃え広がったときに倒壊してしまうまでの時間は、木造住宅の方が長いとも言えます。
鉄骨の耐火対策
鉄が熱に弱いという点について、鉄骨建造物はただ指をくわえて見ているわけではなく、耐火性能を高めるために様々な取り組みをしています。
以下、『一般社団法人 日本建築材料協会』様が公開している情報からいくつか引用します。
内容を抜粋して説明しますと…
鉄骨に対して以下の耐火素材で被膜することで耐火性能を向上させている
- 半湿式吹付けロックウール ~ ロックウールとセメントスラリーを別経路で施工階まで圧送し、鉄骨へ吹付ける吹付け耐火被覆材
- 湿式吹付け ~ ロックウール、石膏、セメント、水酸化アルミ及び軽量骨材等を主成分とした吹付け耐火被覆材
- 耐火被覆板1号 ~ けい酸カルシウム板を主成分とする耐火被覆板
引用元:『鉄骨耐火被覆の現状と今後』
こういった耐火施工で、少しでも鉄骨への熱の伝導時間を稼ごうということです。
鉄への熱の伝わり方を抑えれば、その分火災時の強度低下曲線が多少は緩やかになり、倒壊するまでに逃げる時間が稼げます。
ヘーベルハウスの鉄骨への耐火施工
前段で鉄骨への耐火施工が必要だというお話をしましたが、ヘーベルハウスではどのような対策をとっているのか?
まず、柱の外側(外壁側)は耐熱性の高いへーベル版を使っているため、そこで耐火性能を高めています。
ただ、これでは隣家などの外からの火事の対策でしかないため、室内出火の火事に対応するために、室内側から柱に耐火施工を行っています。
柱への耐火施工
まず、旭化成が提示している資料を掲載しておきます。参考までに…
ヘーベルの耐火構造|資料ダウンロード|ヘーベル【旭化成のALC】
我が家の柱耐火施工には、吉野石膏さんの『不燃タイガーボード』を採用しているようです。
これを柱に張り付けていきます。
この接着剤は以下のモノをつかっているそうです。
これを柱に貼り付けていきます。
最終的にはこんな感じで柱が石膏ボードで覆われます。
我が家は準防火地域なのですが、これが防火地域になるとロックウールとかで巻くんですかね?
この作業自体は半日程度で終わりました。
本日のまとめ
鉄骨は熱に弱いというお話から、ヘーベルハウスでは鉄骨柱に耐火施工を行っていますという実際の施工の様子をレポートしました。
次回はいよいよ、断熱施工と外壁吹き付け施工が始まります。
まだ防水下地塗装しかされていない我が家のへーベル版に、遂に色が塗られていきます。
また、読者の中には断熱施工に興味がある方も多いのでそのあたりも詳細にレポートしていきたいと思います。
次回もお楽しみに…