前回までの工程は…
前回の作業はへーベル版の補修作業と、基礎及び軒に笠木を付ける作業でした。
本日の作業内容は以下の通りです。
- 3階サッシ組み付け
- TMD組み付け
- 屋上屋根施工
- 3階壁へーベル組付け
- 仕上げ作業諸々
今回も相変わらずマニアックな施工内容のレポートとなります。
3階サッシ組み付け
まず、3階のサッシ取付作業を開始しました。
例の如くクレーンで釣り上げての搬入と組付けです。
二人掛かりで鉄骨に組み付けていきます。
細かい施工部分は以前の記事で触れているので飛ばします。
サッシがついた状態です。
この状態だとまだ壁がないため、非常に広々と感じました。
まあ、足場があるとはいえ柵がないので足を踏み外すと地面にキスをする羽目になりますが…
TMD組み付け
ヘーベルハウスの耐震について
ヘーベルハウスは地震に強いことを売りとしています。
しかし、地震に強い=揺れないという訳ではありません。
ヘーベルハウスに限らず鉄骨造の建物の特徴ですが、鉄骨造は「靱性」がその構造的強さの秘訣です。
つまり、地震の揺れに対しての粘り強さで破壊を避ける構造であるため、木造やRC(鉄筋コンクリート)造に比べると地震の揺れを非常に体感しやすい構造とも言えます。
詳しくは以下を参照。
そのため、ヘーベルハウスの重量鉄骨住宅ではオイルダンパー制振装置サイレスと、最上階屋根にTMD制振装置を装備し、鉄骨の弱点である地震の際の揺れの大きさを制振装置で軽減しています。
まあ、このTMDは積水ハウスさんなんかでも採用しているんですけどね。
ハウスメーカー毎の耐震性比較
鉄骨住宅は結構揺れるよというお話をしたので、ヘーベルハウスを検討している人は「え?!」なんて思った方もいるでしょうから、ホームインスペクターの各ハウスメーカーの耐震評価のまとめ記事を一応貼っておきます。参考までに。
建築用語リンク
TMDとは?
Tuned Mass Damperの略で、振動する構造物に錘(おもり)を付けて、錘を揺らすことで構造物の揺れを抑える制振デバイスを指します。地域ミサイル防衛(Theater Missile Defense)が真っ先に浮かんだ人は私と同じ種類のタイプです。
詳しくは竹中工務店のサイトをご紹介しますのでご覧ください。
https://www.takenaka.co.jp/solution/needs/noise/service03/index.html
TMD取付工程
さて、前置きが長くなりました…
TMDの取付工程になります。トラックで運ばれてきたTMDをクレーンで屋上に釣り上げます。
これ、620キロの重量があります。ちなみにブリジストン製です。
予め鉄骨で組んでいるTMD設置場所へクレーンで釣り下げつつ誘導し設置します。
鉄骨にボルトナットで固定して設置自体は完了。
最後に、TMDは上段と下段の二層構造になっているのですが、その両側を固定しているピンがあります。上の写真の赤いシールのところですね。
このピンを外さないと、制振装置として稼働しないので最後にピンを外して設置完了です。
この装置だけで100万円くらいするみたいですねぇ…まあ、ヘーベルハウスの3階建て以上では標準装備みたいですが。
屋上屋根施工
TMDがついたら、今度は3階天井というか屋上床というか屋根のへーベル版を施工します。まあ、手順は今までの床へーベルと一緒ですので、Before&Afterの写真で…
切り欠き屋根の施工
北側斜線規制のため、屋根の一部が切り欠きになっています。
斜めのところも同様にへーベル版を組み付けていくのですが、いかんせん斜めですから、特殊なL字金物の土台を鉄骨に組み付ける必要があります。
これ、なかなか重いです。
そんなものを人力で持ち上げて、組み付けていきます。
流石に足場には上がらせては貰えないので、背伸びして写真を撮ってみました。
とまあ、斜め屋根の受け土台ができたところで、へーベル版を組み付けていきます。
へーベル版の組み付けが終わったら、このへーベル版の上には屋根材が乗るのですが、その前に防水シートを施工する必要があります。
防水シートとへーベル版の間に下地板を入れます。これが何の素材でできたものなのか聞き忘れました…
この下地板を施工した後に、防水シートを施工します。
まあ、例の如く素材名を聞き忘れました…この写真を見て分かった方は教えてください。
この防水シートの上に、コロニアルクァッドのスレート屋根を敷くのですが、解体業をしているブログ仲間のchelseaさんの記事によると、10年毎のメンテナンスが必要だとか。
まあ、陸屋根の防水も10年で補修が必要とも言いますし、そんなもんですかね。
そして、屋根の上なので施主の私は本日見学することができませんでした。流石に足場に上がらせては貰えないですよね。消化不良…
屋根の上では他にも雨樋の土台の金具を付けたり色々やっていましたが、何も見えず。
3階壁へーベル組付け
気を取り直して次の工程です。
次は、3階壁へーベルの取付です。これで我が家は床も壁も屋根も全部覆われることとなりました。
もともとこんな風にスケルトンでしたが、1枚ずつへーベル版を組み付けていきます。
組付け終わると…
こんな感じで、途端に倉庫に変わります。いやはや、ヘーベルハウスって内装工事始まるまではただの倉庫に見えますね。
仕上げ作業諸々
というわけで、あらかたの建て方工事は終わりました。
残るは仕上げ作業の諸々です。その諸々をご紹介しましょう。
耐火目地材の挿入
へーベル版は不燃性で耐火性能が高いことがその特徴です。
鉄骨の弱点である熱。いくら鉄は燃えないとはいえ、溶けます。つまり、隣家で火災があったときにはその火災の熱で鉄骨強度が落ちます。400度で3分の2になってしまうんですね。
参考リンク
日本鉄鋼連盟による鉄の耐火性能について
https://www.jisf.or.jp/business/tech/school/character/taika.html
その弱点をカバーするため、耐火性が高いへーベル版で鉄骨の躯体を守っているわけです。ヘーベルハウスの人はあまりこの説明をしてくれないんですよねぇ…私は知っていたからいいけど。
しかし、へーベル版とへーベル版の隙間から火が吹き込んだらせっかくの耐火性が漸減します。
というわけで、へーベル版とへーベル版の隙間の多いところには耐火性のある目地材を入れ込む仕上げを行います。
下の写真の白い綿みたいなやつが耐火目地材です。
へーベル版側での耐火性向上の工夫
へーベル版の断面には黒い筋があります。
この黒い筋、実は一定の温度を超えると膨張して耐火性のある目地として機能するようになっているそうです。
ヘーベルハウスのへーベル版はこんな工夫をしているんですね。
今度貰ってきたへーベル版を実際に燃やして、どんな風に膨張するか試してみようと思います。
防腐塗装の二度塗り
一通り建て方が完了しましたが、ヘーベルハウスでは鉄骨の防腐塗装を必ず2度実施します。
1度目は最初の組み上げ直後。そして、2度目は建て方完了後です。
鉄は錆びますので、錆止めとしての防腐塗装は必須です。
他のハウスメーカーなどではスプレー防腐塗装などを採用していますが、ヘーベルハウスでは頑なに刷毛での防腐塗装、しかも2度塗りがルールとなっています。
一度目はまだ壁がつかないうちに塗装するので良いのですが、二度目は壁がついた室内になるので、非常にシンナー臭くなります…辛かった。
メンテナンス性向上のための工夫
ヘーベルハウスの外壁のへーベル版の耐用年数は50年以上と言われていますが、へーベル版自体は水に弱いです。弱いというか、要はスポンジ状のコンクリートなので、水が入ってその水が氷ると、水の特性上固体化時に膨張するため、クラックが入る原因になるわけです。つまり、へーベル版を外壁に使う場合は防水処理が何よりも大事です。
とはいえ、防水コーキングも永遠に維持できるものではないため、メンテナンスが必要になるのですが、外壁メンテナンスには足場を組む必要があります。
ヘーベルハウスでは、メンテナンス時に足場を組みやすいようにあらかじめ足場固定用のネジを壁に埋め込んでいます。
これがあることで、足場を組む際に壁1面ずつ足場を組めるので、一部の面の壁メンテナンスのためだけに、わざわざ4面すべてに足場を組まなくても良いように工夫されています。
本日の作業まとめ
というわけで、本日の作業は3階のサッシと壁、屋根のへーベル版施工と、TMD制振装置の設置と仕上げ作業でした。
今回は、足場を使わないと上がれない屋根作業が多かったため、あまり詳しくレポートできませんでしたが、まあこんなことをやっているんだなという雰囲気が伝わったでしょうか?
次回はいよいよ建て方施工チェックと、我が家の鬼門であるガレージシャッター施工となります。お楽しみに。