前回までは…
前回までの工程で、1階の柱と梁を組み上げ、床へーベル版と窓サッシまで取り付けが終わりました。
今回、22日と23日に行われた2回目と3回目の工程についてまとめてレポートします。
22日の行程
22日の行程は、1階の壁へーベルと2階床へーベルの組付け、2階の柱と梁の組み上げが予定されています。
2階床へーベル組付け
まず最初に、2階の床へーベル版を組み付けます。
2階の天井には、万が一落下したときのために、ネットを張っています。
組付け手順は基本的にどの階も一緒ですね。
へーベル版を敷き詰めた後に、へーベル版とへーベル版の間の隙間に鉄の棒を組み付けます。
この剛床金物と剛床金物同士を鉄の棒で接続しています。
この鉄の棒、一見大したことない部材に見えますがとても重要な意味を持っていて、この棒を入れ忘れると欠陥住宅になってしまうんだそうです。
へーベル版って経年で反り返ることがあって、この鉄の棒を入れておくことでへーベル版が反るのを防ぐ(抑え込む)役割があるんですよ。
by建て方棟梁
なるほど、位置合わせのためだと思っていましたが、この鉄の棒でへーベル版が反り返ったときにストッパーとなるんですね。へーベル版って反ることあるんだ…
1階壁へーベル組付け
2階床へーベルを入れ終わると、1階壁へーベルを組み付けます。
ここで、ヘーベルハウスの壁である壁へーベルについて少々解説します。
ヘーベルハウスの壁はALC(つまりへーベル)の壁を組み付けているわけですが、上記旭化成のサイトにもあるように、へーベル壁を上下2か所でしか留めていません。
実際の我が家の壁へーベル版の写真をお見せしましょう。
工場から出荷されてきた大壁へーベル版にはあらかじめ上下にネジ穴が付けられています。
ここに、ロックボルトで留めるための金具を装着します。
大壁下はこのように基礎側の台座に固定されます。
大壁上は、鉄骨に組み付けたL字の金物に、台座の金物とボルトナット一本で組み付けられているんですね。言い換えるとここさえ外せば壁は取れてしまうわけです。
引きで見るとこんな感じですね。
ヘーベルハウスの壁について豆知識
割と勘違いされている方は多いのですが、ヘーベルハウスの壁であるへーベル版は、構造上必要な耐力壁ではなく、帳壁(カーテンウォール)なのです。
ヘーベルハウスは鉄骨ラーメン構造ですので、これまでお見せしてきたあのごつい基礎、そして鉄骨の柱と梁が家の構造を維持するために必要な構造体となります。
実はへーベル版は、ヘーベルハウスの構造上の「強さ」に直接寄与しているわけではありません。構造の話を始めると、それだけで専用の記事が一つ出来上がるので今回はこの程度しか触れませんが、今回出てきたキーワードについてプロの解説が読みたい方は以下を参照してみてください。
建築用語リンク
帳壁って何ぞや?
鉄骨ラーメン構造って何ぞや?
1階壁完成
職人さんたちが手際よく作業し、あっという間に1階壁が完成です。
1階外壁の目地がきれいに揃っていて、壁毎に凸凹していないんです。これは本当に基礎が高い精度で作ってあるが故にできること。
改めて、我が家の基礎工事を担当してくれた「町田基礎」さん、素晴らしい職人さん達です。
さて、このマニアックなブログを読んでいる人たちは、もう少しディテールが気になるでしょう。ちゃんと撮ってきましたよ!
基礎上の台座はこんな感じで…
へーベル版が乗るとこんな感じになります。
構造柱の部分の台座はこんな風になっています。
2階柱と梁の組み上げ
1階の壁を取り付け、2階の床を取り付けた後は、2階の柱と梁を組み上げます。
一階の柱は基礎と固定しますが、2階以上は1階の柱と柱接合して通し柱となります。
以下、ヘーベルハウス公式の説明です。
では、早速見ていきましょう。
柱接ぎをする部分にはコーナーグリッパーという金物を取り付けます。例の如く、取付前の写真は撮り忘れました。
接ぎをする柱をクレーンで持ってきて、四隅の高力ボルトをトルクレンチでしっかりと締めます。
後は防腐塗料で仕上げですね。
その後、梁を組み上げていきます。
細かいところは前回の記事で書いているので、いきなり完成形。
建築用語リンク
そもそも柱と梁って?
階段の取付
2階から3階への階段も取り付けます。
階段もあらかじめ工場で組み上げられた鋼鉄の階段がそのままトラックで運ばれてきますので、それをクレーンで釣り上げていきます。
所定位置に調整して慎重に下していきます。
鉄骨に固定して設置完了。
なかなかアクロバティックで壮観でした。
こんな近くで見物させてくれた棟梁、ありがとうございます!
というわけで、建て方2日目の作業はこれで完了です。
23日の工程
23日の行程は、2階の壁へーベルと3階床へーベルの組付け、3階の柱と梁の組み上げが予定されています。
さて、早速見ていきましょう。
3階床へーベル組付け
2階の時同様に、きちんとネットを張ったうえでクレーンで床へーベルを3階に持ってきます。
こうやって1枚1枚丁寧に組み付けていきます。
この板1枚100キロあるそうですよ。
2階のサッシ取付け
3階壁が組み上がったら、今度は2階の窓サッシを取り付けます。
サッシの行程は1階と一緒なので細かくは省きます。
ちょっと見え辛いですが、窓の位置も隣家と隣家の間の空間に位置するように設計上気を付けています。窓開けた先が隣家の壁しかないとあまり意味はないですからね。
とりあえずサッシだけがくっついた2階です。
まだ壁がないので近隣の風景が見渡せますが、場所がバレバレになるのであえてホワイトアウトしてます。悪しからず…
今思えば、こちら側の壁にも採光用Fix窓付けておけばよかったなぁ…うお!?後悔ポイント?!
2階壁へーベル取付
サッシをつけたら、へーベル版の壁を取り付けます。
1階の壁へーベルは下の支えが基礎でしたが、2階から上は鉄骨が下の支えになるので、若干構造が違います。
鉄骨梁にへーベル版の置き場となるL字金物をボルトナットで組み付けます。
上部も同様です。
壁へーベルをクレーンで吊り下げて、二人がかりで組み付けていきます。
これを繰り返して壁が組み上がっていきます。
さて、出来上がった壁を3階から見てみましょう。
マイクロストライプ目地が綺麗ですね。完成が楽しみです。
そして、2階も壁が出来上がりました。
3階柱と斜め屋根組み上げ
我が家の土地は第二種中高層住居専用地域であり、北側斜線規制が入ります。
したがって、3階建てで高さ約9メートルある我が家は、一部の屋根が切り欠かれることになります。
という訳で、3階の柱と梁は少しだけ特殊なものになります。
では、早速見ていきましょう。
こんな形の鉄骨で登場します。
流石工業化住宅ですね。パーツが規格化され、現場での組み付け工数を減らす努力がされています。悪く言えば規格外の形状にできないってことでもありますが(笑)
この斜めのところって、どうやって柱に接合するのか?
こういう風になってました。柱側の形状の写真を撮り忘れました(だって凄い雨だったんだもの…)。
そして、あっという間に組み上がります。
さて、この切り欠き屋根の部分ですが、ヘーベルハウスではブレース鉄筋が入ります。
重量鉄骨のヘーベルハウスでは、筋交いもブレースも基本は入らないのですが、この部分は例外です。
建築用語リンク
筋交いとブレースって何ぞや?
バルコニー壁の構築
さて、3日目行程の最後はバルコニー塀の構築です。
我が家にはバルコニーがついています。屋上に行くための螺旋階段を付けるためにですね…
バルコニーは片持ち梁(キャンチレバー)構造になっています。要は張り出しですね。
建築用語リンク
バルコニーの構造は他の床や壁とは少し違っています。そして、2020年FREX Axiiiから構造が少し変わっていて、職人さんも組み立てに苦労していました(笑)
まず、バルコニー塀は壁の様にへーベル版をただ並べているわけではありません。
この写真の上の方にある細長い鉄のブレードが、バルコニー塀のへーベル版のフレームとなります。
この鉄のブレードの間にへーベル版を挟んでいく構成となります。
実際にへーベル版が組まれたのが上の写真となります。
フレームの上下で壁と同様に金物でボルトナット留めしています。
ついでですが、螺旋階段の基部も鉄骨に接続します。
螺旋階段自体は、専門の業者が組み立てるそうです。
そうこうしているうちに、バルコニー塀が出来上がりました。
本日の工程まとめ
というわけで、建て方工事2日目と3日目で、無事2階まではほぼ完成、4日目の行程で3階壁と天井、サッシを入れて完成という予定でしたが、別の現場に職人さんが一名応援で出払ってしまい、普段より少ない人数で作業を行ったため、急遽1日作業が追加になるということで、24日土曜日にも作業をするとのこと。
一端、3日目の工程を終えての我が家の外観写真で、今回の記事は終わります。
次回は、建て方工事④です。