以前書いた記事について、元となったブログ主とも色々会話をしたところ、いろんなものが見えてきました。
以前の記事はこちらに。
大雑把に言うと、元となったブログがTwitter上で軽く炎上しました。
炎上の後、私含めた施主ブロガー達と、ブログ主であった設計事務所社長との間で意識齟齬があり、色々とその溝を埋めた結果、以下の様に訂正記事が出されました。
私なりの見解を書かせていただき、私なりのけじめを示させていただこうと思います。
まず、前回も書きましたが建築というのは専門知識の集合体です。建築士という国家資格を有さないと基本的に建築物の設計及び施工管理はできない性質の特殊技能です。
そのベースの上で…
専門知識を有する所属と氏名を明かしたプロの発信する情報ではなく、一介の施主(建築という専門技術者から見たところの素人と表現します)が匿名で発信する情報を、どうして消費者側は得る必要があるのかがわからない。
また、プロの情報発信があるのに、何故素人が建築の情報発信をしているのか?それはアフィリエイトによる収益目的なのでは?
こういった疑問を持たれた故の、施主ブログのほとんどに(正確な情報という観点での)価値はないという意図だったのだろうというのが私の理解です。
ここで要点は二点。
- 施主ブログは収益目的じゃないのか?
- 建築素人が家造りの知識を発信する理由は?
それぞれ掘り下げていきます。
施主ブログは収益目的じゃないのか?
まあ、これは人によると思います。
私もGoogleアドセンスの広告を貼ってますので、皆様のクリックが収益になります。ただ、この弱小ブログ…ドメイン費用とかはてなブログProの費用とかをペイできるほど収益は出ておりません笑
まあ、つまり収益をあまり期待していない自己満足ブログでございます。ヘーベルハウスの鉄骨すげーだろー!基礎すげーだろー!こうやって組み立ててるんだぞって書いて、家が建った後に「ああ、あんなこともあったね…」と振り返られればいいなぁと思っています。
とはいえ、ブロガーの中には相当のPV数を稼ぐ非常によくできたコンテンツを作っている方もいますので、それなりに稼げるのではないでしょうか?
これに関しては、収益がメイン目的なのか、ブログを書くことがメイン目的で収益はついでなのかは書いている本人と、サイトの作り次第だと思いますので、どっちだと断言することはできません。
ただ、一つ言えることは…ハウスメーカーからステルスマーケティングとして何らかのディベートを得てブログを運営している人は、このコンプライアンスのご時世ではあまり現実的ではないと思います。
だって、バレたらブランドイメージ大暴落もよいところです。余程阿呆な広告代理店でしょうね。
建築素人が家造りの知識を発信する理由は?
顔を名前と所属を詳らかに明かした建築のプロが、匿名の一介の素人の知見に勝るはずはないというのが当初の見解でした。
プロとしてそう思う気持ちはわかります。
ただ、個人の住宅という機密性の高い情報を氏名を公開して一般人がインターネット上に公開するのは、泥棒にどうぞ我が家はこうなってますと紹介しているようなものです。それは、インターネットの世界ではリテラシーの高い行為とは言えません。
とはいえ、その危険もある中何とかぎりぎり個人を特定されない範囲でご自身の家を公開した上で情報を発信しているのも事実。ここは、匿名であることが情報の優越の差とは言えないでしょう。
さて、本題は家造りの素人の発信する家の情報に価値があるのか?という点です。
この点で、実務者側と消費者側にギャップがあったのが今回の炎上の根本的な理由だと私は思います。
簡単に言うと、実務者は家を建てるプロだけど、施主は家を実際に建てた側なんですね。つまり、見ている目線が違う。
施主ブログで人気が高いのは「後悔した系」と言われています。これって、実際に家を建てて住んでみた人の生の声なんですよね。
プロが設計したのに施主の後悔が出る。でもこれって、原因は色々あって、施主の要望がイマイチだったり、逆にプロ側がヘボだったり、予算の都合だったりと色々あるわけです。
実際の消費者目線での家造りという視点は、施主ブログから得られる貴重な情報だったりします。
実務者が意図した通りに施主が家を使うという訳でもないわけです。良かれと思ってウッドデッキを付けたけど、施主はウッドデッキに出なかったらそれは無駄になるわけで。
前回の記事で私は、施主ブログは口コミであると書きましたが、素人目線からの口コミって、これから家を建てようと思っている建築素人にとって身の丈に合った情報なんですね。
建築素人に「あなたは2×4工法と在来工法どちらが良いですか?」と振ったところで、素人側としては「???」になるわけです。
そんな時に、プロが発信するそれぞれの工法についての正確な情報が役に立つ訳ですね。
つまり、それぞれの立場から発信する情報は、対象としている情報の受け手が求めている情報のベクトルが違う訳です。
実務者の発信する情報、施主の発信する情報、それぞれお互いに補完し合えるはずのテリトリーであると思います。
というわけで、今回はこんな気付きを得られたのではないかなというお話でした。
P.S. とはいえ、いくら素人とはいえ、憶測と思い込みで間違った情報を発信して良い訳ではないので、改めて自分が発信する情報の正確性については検証しましょう。それこそ専門性の高い情報については、プロが発信する情報を引用するなりリンクするなりという棲み分けは大切です。