前回までの工程は…
本日は上水道管の本管取り出し工事でした。
どういう工事かというと、市の公共水道管から家に上水道を引き込む工事です。これをやらないと水道使えませんからね。
というわけで、本日の工事内容をレポートします。
上水道管本管取り出し工事
まず我が家の敷地はこういう配置になっています。
我が家の敷地は市道から私道に入った路地上にあります。そのため、市道地下にある川崎市の上水道本管から水道管を引き込む必要があります。
上記の図で言うと赤い線ですね。同じ私道に接する隣家も同じように私道を経由して水道管を引き込んでいるので、我が家も市道と私道を掘削して、家まで水道管を引き込む工事を行いました。
隣家と引き込む水道管を共有するケースもありますが、その場合何らかの事情で水道管付け替えが必要になると、水道管を共用している隣家と費用負担等で調整が必要であったり、また共用故に水圧が足りなくなることも考えられるため、ヘーベルハウス側と協議し専用の水道管を敷設することとしました。
ちなみにこの工事、100万円以上かかってます(笑)
川崎市の歴史について
さて、本題に入る前に川崎市の歴史のお話です。
川崎市って今や全国市町村人口ランキング7位(2020年現在)で、もうすぐで神戸市を抜くと言われている大都市です。
その歴史を紐解くと、江戸時代は武蔵の国と言われており、徳川幕府直轄領の穀倉地帯でした。
出典:今昔マップon the web
武蔵小杉近隣地帯は徳川将軍の小杉御殿があり、多摩川の渡しである丸子の渡しと宿場町がある他は水田と畑が広がる土地でした。
徳川幕府は多摩川から『二ヶ領用水』を引き込み、そこから更に細かい水路を引き込んで水田に水を引きました。
そのため、現在でもその水路が暗渠として住宅地となった現在の武蔵小杉近隣に数多く残っています。
余談ですが、我が家の最寄りである元住吉駅ですが、ここはかつて「住吉村」だったところを1925年(大正14年)に中原町に合併されて消滅してしまったため、”元”住吉村ということで、元住吉という名前になっているそうです。
かつての用水路が暗渠に
というわけで、我が家も元水田だったわけですね。そういえば土地の地質調査をしたところ粘土質の柔らかい土壌でした。
さて、話を本題に戻します。
我が家の敷地に接する市道はかつての水路であった場所で暗渠になっています。
暗渠って?という人もいるでしょうから解説します。
暗渠とは「地下に埋設したり、ふたをかけたりした水路。暗溝。→開渠(かいきょ)」
Weblio辞典 https://www.weblio.jp/
あのタモリさんも大好きな暗渠、ブラタモリとかを視聴している人はご存じかと思います。
興味がある方は以下のサイトがなかなか面白いですよ。
この暗渠が、我が家の水道管工事を難工事としました。詳細は後述。
道路掘削工事
というわけで、早速工事の話に入っていきます。
水道管は道路の下、つまり地中に埋まっていますので、地面を掘るところから工事が始まります。
道路を掘削するために道路を通行止めにして、コンクリートカッターでアスファルトを切断します。
その後、ユンボで掘っていきます。
ちなみに、ユンボの語源ですが、元はフランスのシカム社という会社で作られていた油圧ショベルの商品名だったそうです。 昭和30年代に「ユンボ」が日本に輸入され、それと同時に、油圧ショベル全体を表す言葉のように使われるようになったとか。
ユンボで掘削した後は、手作業で掘り進めます。
重機で掘り進めて、水道管を破損させると大変だからですね。
ちなみに、ライフライン系で誤って断線させたときにやばい(弁償的な意味で)のは、一位は電線、二位がNTTの回線だそうです。
この写真の作業員の方の足元に見えるシルバーのパイプは、隣家の水道管です。
掘ってみて、問題が発覚しました。
水道管配管に問題発生
これは先ほど提示した図ですが、予定では各家から私道を通って市道の水道管に図の通りまっすぐつながっている想定でした(緑線)。
そのため、我が家も赤い線の通り水道管とつなぐ想定で掘り進めた所…
どういう訳か、隣家の配管が途中で折れ曲がって接続されていることが発覚しました(上の図で言う紫の線ですね)。
水道局の指定により、本管への分岐は30センチ以上間を空けねばならないので、まっすぐ引き込むことができません。
というわけで、我が家の配管を途中で上の図の赤線のように折り曲げて、本管と接続させる必要があります。
この為に、更に道路を掘らなければならなくなりました。道路占有許可の時間にも制限があるため、工事業者さんたちは休憩なしで急いで追加作業をすることとなりました。
本管取り出し
さて、追加掘削も何とかこなし、いよいよ本管取り出しとなります。
まず、一番上の黄色い管が都市ガスの配管です。これに穴を開けるとガス救急車騒動となります。
左側の塩ビの太い管は、側溝の排水を下水管につないでいる配管です。下水管は太く、そして上水管より更に深い位置に通っています。
そして、若干土にまみれていますが、青い配管が上水管です。意外と細いですね。
手前のシルバーの配管が隣の家の配管です(なんでこんな付け方したんだ…)。
作業手順としては、本管をまずは綺麗に露出させます。
そして、専用のクランプ(サドル分水栓)を本管に取り付けます。
サドル分水栓には止水栓がついているので、穿孔機を使って本管に穴を空けます。
この手順を使うことによって、断水せずに本管から分岐工事ができるんですね。一つ賢くなりました。
では、手順を見ていきましょう。
サドル分水栓から水がきちんと出ることを確認する
(ホースを付けて実際に水を流しています)
本件、一つ一つ説明しながら工程を進めてくれた職人さん、ありがとうございました。とても勉強になりました(迷惑な施主)。
ちゃんとエビスビールを差し入れましたよ!
立ちはだかる暗渠
さて、最初に暗渠のお話をしたと思いますが、我が家の敷地と市道の上水本管の間には暗渠があります。
本来なら暗渠の下を水道管を潜らせる予定だったのですが、調査したところどうも暗渠の深さは2メートル近くあるようで、とてもじゃないが掘ってられないということになりました。
そこで、以下の様に水道管を通すことになりました。
この暗渠、江戸時代からの用水路にコンクリート擁壁で護岸工事をして、上から蓋をしただけのようです。つまり、底は土のまま…
というわけで、コンクリート擁壁に横穴を空けて、上記の図のように水道管を通すこととなりました。
このように穴を空けて水道管を通すわけです。
こんな感じですね。
この後、職人さんが実際に暗渠の中に潜って内側からもパテ埋め作業をしてくださいました。大変な仕事だ…こういう仕事をしてくれる方々がいるから、我々ホワイトカラーは快適に暮らせるのだという感謝を忘れずにいたいですね。
側溝下を通す
難工事はまだ続きます。敷地の前面道路と敷地の間に排水用のU字側溝があるのですが、水道管はこの側溝の下を通さねばなりません。
ただ、この側溝のすぐそばにはガス管が通っているので、重機も使えず非常に厳しい作業となりました。
見え辛いですが、黒い管がガス管ですね。
この難工事の末に、やっと我が家の敷地内に水道管が通り、メーターボックスが取り付けられました。
水道管敷設
幾多の難工事を経て、水道管を敷設していきます。
最近の水道管はステンレス製なんだそうです。水道管ってどうしても銅管とか鉛管のイメージでしたが、時代の進歩ですね。
途中途中が蛇腹になっていて、折り曲げられるようになっています。
また、数か所止水栓を取り付けてくれるようです。
止水栓が複数あることで、どこかで漏水などが起きても最小範囲での交換作業で済むので、確かに合理的ですね。
本管と自宅への水道管の間の仕切弁は、このような筒で道路上に露出されます。
この仕切弁、他の家で使う予定だったものを流用したみたいで、テープに貼ってある名前も土地名も我が家とは全く関係ありません(笑)
配管後の埋め戻し
というわけで、配管作業が完了して埋め戻しとなります。
30センチ単位で転圧機で転圧してしっかり埋め戻していくそうです。
朝の8時から工事を始めて、西日が差す頃までかかりました。
この後、いったん仮舗装して道路復旧を行った後、後日本舗装して完全復旧となります。
流石に埋め戻しからの仮舗装まで見学するのは疲れたので、この日はこれで撤収しました。本復旧後はまた後日。
まとめ
まとめというほどのものはないですが、今回我が家専用の水道管を本管(市町村が管理する水道管)から直接引き込む工事を行いました。
本管から自宅敷地まで若干距離がありましたので、それなりの距離の作業になったので200万円かからなかった程度の費用が発生しています。
とはいえ、自宅専用ですので私設水道管を共用するリスクはないわけですから、これだけの費用をかけた価値はきっとあるのだと思います。
今回、普段は見ることができない道路の下の地中を実際に通っている水道管を直に見ることができ、そしてそこから実際に水道管を分岐させる手順を見られたことは非常に興味深い経験となりました。
これもある意味、注文住宅の醍醐味の一つと言えるのではないでしょうか。
さて、次回は基礎の埋め戻しと、玄関ポーチの台の施工の予定です。