現在、ヘーベルハウスの新築工事中の我が家は、上棟まで終わり、いよいよ内装工事へ…という段階に進んでいました。しかし、このタイミングで家の根幹を揺るがすとある施工ミスが発覚しました。
そのミスに対して、旭化成はどう対応したのか?
施工ミスの全容
最初のミス
始まりはガレージシャッターの取り付け位置間違いでした。
このエピソードは以下の記事でまとめています。
上記の記事でも書いておりますが、この最初のミスについては直ちにヘーベルハウス側が動いてくれて、次の週には是正が完了していました。
この時点で、実は今回の事件の種は撒かれていたのでした…
発覚した重大ミス
概要を説明するとこういうことです。
ガレージシャッターは、シャッターレールを支える側壁があります。
この側壁が家の壁に沿うように立てられるのですが、図の通り構造柱の基礎だけコンクリートが飛び出している構造になっています。
今回、シャッター施工業者はシャッターの納まりを優先するため何をしたかと言うと…
基礎コンクリートの部分を削って、シャッターがきちんと納まるようにしてしまったことが、今回の問題でした。
詳しくは以下の記事を参照してください。
旭化成ホームズとの話し合い
ヘーベルハウスの初動対応
引用した記事とも一部重複しますが、時系列としては以下の通りです。
- 6/27(日中):施主によりシャッター施工位置が違うことを指摘
- 同日(夜):ヘーベルハウス現場監督から、施工位置ミスの経緯報告と謝罪及び是正工事対処日程についての連絡あり
- 7/1(日中):シャッター位置修正工事完了
- 7/6(日中):現場監督による施工チェック実施の際に基礎への加工が発見され、直ちに社内にエスカレーションされ、問題点の整理と危険性含めた確認を実施
- 同日(夜):現場監督より、施主に第一報報告電話。事態の説明と、考えられる可能性、今後の対応予定について報告を受ける。
- 7/10(日中):旭化成ホームズとしての対応策がまとまったということで、7/11に本件の正式な報告会を実施する旨の調整
というわけで、問題が発覚した7/6のその日に第一報として施主への報告が上がり、その週のうちに旭化成本社を交えて確認が行われ、7/11には報告会開催というスピード感でした。
ヘーベルハウスとの話し合い
7/11に、ヘーベルハウス側から正式な報告をいただけるということで、オフィスまで赴きました。家まで来てくれるという話もありましたが、家の片づけをするのも面倒なのでそちらまで伺いますとこちらから申し出たので、呼びつけられたわけではありません。
まず、偉い人と現場監督と設計担当と営業担当がずらっと並び、深々と申し訳ございませんセレモニーから始まりました。
こうなることはわかっていたのですが、やはり現実に受けるとちょっとドキドキしますよね。
経緯の説明
まずは今回の経緯を時系列を追って説明されました。
正直、私も仕事でこういう資料よく作るなぁ…と思いながら読んでいましたが、資料の朗読ではなく、経緯をきちんと自分の言葉で施主の目を見ながら説明されたことが印象に残りました。プレゼン力高い…
事の経緯はこうです。
- 設計から施工担当へ引継ぎされた図面にはシャッター位置がオフセットされている旨、オフセットミリ数含めて記載がある
- その図面を元にシャッター業者へは発注されている
- 現場の職人には何故かオフセットミリ数まで書かれた図面は渡されていなかった
- 職人さんは納まりの美しさを優先して施工した(シャッター位置間違い)
- その際に、シャッターの寸法と実際の現場の寸法に差があり、シャッターが納まらないため、職人さんの独断で基礎を削って無理やり納めた
経緯の説明を受けて
原因は大きく三つあると私は思います。
まず一点目は、旭化成側と下請け側の施工図面の引継ぎに問題があった。これは再発防止をしっかりしてもらうしかないです(とはいえ、ちゃんと寸法入りの図面渡してるんだよなぁ…)。
二点目は、職人さんの心遣いが逆に仇になってしまったという点でしょうか。やはり、職人さんも少しでも美しく仕上げて施主に喜んでもらおうと仕事をしてくれています。その心遣いと、今回我が家が特殊な設計になっていたのでそれを読み落とした結果、シャッター取り付け位置を誤ってしまったという経緯があります。
ここは一点目の図面の確実な引継ぎで防げる部分ではありますが、職人さんには是非ともその心遣いは忘れないでいてほしいと思います。
ただ、三点目については私は業界の闇を見た気がします。これについては次のセクションでお話します。
業界の闇
今回シャッターを施工してくれた業者さんはリフォーム工事なんかも多く手掛けているそうです。多くのリフォームの現場では、シャッターを取り付ける際に納まりを優先するために、既存の構造物に手を加えるということが常態化しているそうです。
私は建築学科を出ていますので、構造体の重要さは重々承知していますが、それは専門教育を受けたから知っているだけであって、実際の作業をする職人さんみんなが知っているわけではないのも事実です。
今回、ヘーベルハウス側できちんとチェックしたからこそ問題化しましたが、他のリフォーム現場などでは大事な基礎を削ったりしてしまっているということです。
これって、実はとても重大な問題なのではないでしょうか。
ヘーベルハウスからの是正案の提示
現状の調査結果
今回、経緯はどうであれ重要な構造柱の基礎を欠損させてしまったという事実は変わりません。
ヘーベルハウス側で専門家を含めて3次元解析までして調査した結果、この状態だと「耐震等級3は満たせない」という結論だそうです。
比類なき壁が、ただのALCの壁になってしまうわけですね。
当然、契約時の仕様を満たせないものは引き渡せません!ということで、対応策をご提示いただきました。
欠損基礎の補強案
これは、私が事前にこういう補強で何とかならないですか?と質問をしていた件への回答も含めてという提案でした。
阪神大震災以降、高速道路や鉄道の橋脚に鉄板を巻きつけて補強しているのを見かけたことがあるかもしれません。
今回欠損してしまった基礎にも同じような措置をすることで、性能を担保できないのか?という質問をしていました。
結論としては以下の通りでした。
- 形式認定を取っている構造から逸脱するため、建築確認の審査を1から実施する必要があり、審査だけで2か月は要する恐れがあり、最悪審査が通らない可能性もある
- 一部の梁や柱の構造を強化し、筋交いなどが増えることになり、計画にない壁が増えてしまう
- そこまでやったとしても、元々のスペックに到達しない
まあ、検討はしたけど施主から「これでいいからどうしてもやってくれ」と言われない限り採用するつもりはないでしょうね。私も嫌ですもの。
ヘーベルハウスの本命案
というわけで、
「一度、基礎まで解体して地盤改良完了時点まで振り出しに戻し、再度基礎から作り直させてほしい」
というのが、ヘーベルハウス側からの回答でした。
ヘーベルハウスの商品価値はその堅牢さにあり、その堅牢さの根幹を揺るがす部分を見過ごすわけにはいかない
旭化成としてのプライドにかけて品質を保証できる形で提供したい。つまり、1から作り直しさせてください!
正直痺れましたねぇ…自社製品へのプライド。
いや、まあ正直発覚した時点で「多分こりゃ建て直さないとダメなんだろうな…基礎だし」と思っていたのですが、その通りの結果となりました。
建て直しにあたって
というわけで、我が家は上棟まで終わっていましたが、一度基礎まで解体して、もう一回建て直すことになりました。
当初、2020年9月末に引き渡される予定だったのですが、2020年12月末になりそうです。3か月の遅延で済みそうですね。
費用面のお話
今回、旭化成ホームズからは工期が伸びることによる施主の損失(賃貸住宅の家賃や更新手数料、住宅ローンの土地つなぎ融資の延長利息など)は全額保証する旨は伝えられました。こういう事態になったら、ヘーベルハウスに限らず大手のハウスメーカーであれば通常同じ対応をするでしょう。
とはいえ、別に住宅ローンが始まらなければ今の家賃を払い続けて今の家に住むことは何ら問題はないので、家賃保証は辞退しました。
つなぎ融資の利息が予定より増えた分はよろしくね~ということで。
ただ、私は個人的に気になったことがあり聞いてみました。
今回はシャッターメーカーの下請けがやらかしたわけで、旭化成としても元請けと言う点で解体と再建築費用を手弁当で持ち出すことになるのは理解しているが、実態としてシャッター業者にその分の費用請求を行うのか?
旭化成としても、黙って大赤字を受け入れるとは思えないわけで、やらかした業者に対して損失分補填を求めるのは当然だと思うわけです。
しかし、下請け業者は企業体力があるとも思えません。数千万円の損害賠償を行ったことでその業者が倒産し、従業員とその家族とが路頭に迷うというのはどうにも後味が悪い。
こちらの懸念に対して、シャッター業者と旭化成ホームズとの間でまだ協議中とのことなので何とも言えないが、基本的に施工業者はこういう事態に備えて保険には入っているから、この損失で直ちに会社が倒産するなどは考えにくいとのこと。
それを聞いて少しだけ安心しました。
ご近所への配慮
解体工事が決まり、何が大変かと言うとご近所に再び迷惑をかけることになる点です。
更に、今回解体となるとへーベル版の破片が飛んだりと言うことも有り得るわけです。
この辺の配慮もちゃんとしてほしいという要望をお伝えしたところ、私の盲点がありました。
建ったばかりの家がすぐに解体されてしまうとなると、ご近所の方も不安に思われる。
施主が急に亡くなったのでは?とか、金がなくて逃げたとか良からぬ噂が立つこともある。
なるほど!この発想はなかった。
というわけで、建て直しにあたっての経緯も含めてご近所様に誤解がないようにきちんと説明して回ってくれるそうです。良かった!
施主からの要求
こういう事態になったわけですから、施主からの要求も受け入れます…という平身低頭な状況なわけです。
しかし、
ヘーベルハウスさんが自社ブランドのプライドにかけて、建て直してくれると言ってくれているのに、こちらが足元を見るような不名誉なことは、私のプライドが許さない訳です。
要は予算都合などで諦めた一部オプションとか、お詫びにつけてくれとか、設備のグレードを上げてくれと要求したらハイと言われかねない…それはちょっと違うと思うわけです。シャッター業者がお詫びにシャッターのグレードを上げますと言ってきたら、「あざーっす」と受け入れますが、こちらからおかわりを要求するのは違うよなと。
というわけで、私からは以下の要望を出しました。
- 現場監督は変えずに、最後までやり遂げること(リベンジ戦)
- 今回シャッター施工をミスった業者は、可能であれば同じところにやってもらうこと(同じミスは繰り返さないだろうし)
- 基礎や建て方工事は、今回と同じチームを再招集してほしい(凄く良い職人さんたちだったのでまたお願いしたい)
- 解体現場は見学させてくれること(単純に見てみたい)
- 解体する家のへーベル版の一片と鉄骨の一片を記念品として残してほしい(吹き付け塗装した状態でお渡ししますという粋な提案をもらいました)
- 小さいラム君ぬいぐるみを1体提供すること(展示場の展示品も可)
まとめ
まあ、正直想定外の事態に発展した訳ですが、地鎮祭からやり直すことになりました。
私はヘーベルハウスを新築で建てて、解体し、再び新築したという稀有な施主になりそうです(笑)
ただ、今回の件は何度も書いていますが、誤魔化そうと思えば誤魔化せるのに、それを一切やらず、自社製品の品質を担保するために自ら建て直しを提案いただけたこと。
私の中で、高かったけど旭化成ホームズヘーベルハウスにお願いして良かったと思いました。
どうせ完成予定が延びるのだから、一部照明計画とかも再検討する時間ができたと前向きにとらえていこうと思います。
というわけで、当面「地鎮祭(再)」とかそういう感じで行程は進みそうです。
次回
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