2020年5月9日、我が家の地鎮祭を執り行いました。ヘーベルハウス提携の地鎮祭を行いましたので、神社に直接お願いする地鎮祭とは少し趣は違うかも知れません。
今回は『地鎮祭』について触れていこうかと思います。
地鎮祭とは
「じちんさい」もしくは「とこしずめのまつり」と読みます。
住宅その他の建造物を建てる際に、その土地に宿る神を祀り、土地を利用させてもらうことの許しを得るための神事とされています。最近では、工事の無事を祈る儀式と認識されているケースが多いようです。
一昔前は当たり前のように実施されていましたが、現代では(明確な統計情報はないですが)大体50%の施主は実施しないことが多いようです。
地鎮祭の歴史
地鎮祭の歴史は古く、持統天皇期(645年飛鳥時代、聖徳太子没後の、大化の改新で有名な天智天皇の娘にあたる方です)の日本書記に地鎮祭が行われた記録が残っています。
つまり約1400年くらい前から行われていた神事ですね。
地鎮祭を行う意義
そもそもの由来としては、日本の伝統的な価値観として万物に八百万の神が宿るという考え方があり、土地にも神が宿るという考えを持っていたわけです。
人は神が宿る土地に人の都合で家を建てるわけですから、神様にどうかこの土地を使わせてください、怒らないでくださいとお願いをするというのが本来の地鎮祭であるわけです。
建築中の事故は、土地の神に(失礼があったことによる怒りに)よる祟りだという考えから、祟られないように事前に祭りをすることで土地の神を鎮める祭りというわけですね。
現在では、事故らないようにお守りくださいという意味合いが強くなってきてしまっていますが、本来は上記の通りなんです。八百万の神はお願いを聞いてくれるわけではなく、人のやろうとすることに力を貸してくれるというスタイルなんですね。
本来、神社でお参りをする時は、「~を叶えてください」ではなく、「~を実現するので力を貸してください」とお願いするのが、八百万の神のスタンスに合うお願いです。キリスト教やユダヤ教のGodと違って、人一人に対してああしろこうしろって細かいことを言う神様ではないわけで。
話が若干脱線しましたが、地鎮祭を行う意義とはなにか。
本当に神を信じている人は、地鎮祭本来の意味に立ち返り、土地の神様への感謝と許しを得るという意味合いで受けられるべきでしょう。
私個人は、神道というか日本のこういった八百万の神が万物に宿るという考え方、精神性が好きです。これは自然を大切に、共存していくという日本人本来の考え方の根底にあるものだと思います。
だから、私は伊勢神宮も大好きで毎年参拝に行っているくらいです。
私はこういった日本の文化を守り伝えていくという観点で、神事は大切にしたいと思っています。
正直祟りとかそういったことを信じているかというと、そういうわけではありませんが、神事を通して古の日本人の先祖たちの考え方に触れる機会と捉えています。
伝統行事を守る、そのために5万円で済むなら…そう思うわけです。ある意味で現代版のnoblesse obligeの一環と思います。
地鎮祭への否定的な意見
最近ではおおよそ施主の2人に1人は地鎮祭をやらないと聞きます。
多くが、
- お金の無駄
- 単なる気休めのために神主を儲けさせて貴重な時間を費やすのが馬鹿らしい
という意見のようです(Yahoo!知恵袋調べ)。
まあ、合理的価値観だと思います。私はそういった考えで地鎮祭を実施しない人たちを否定するつもりは一ミリもありません。
ただ、どういうわけか一部の人は、地鎮祭を実施する人に対して「そんなお金を無駄にして…」等と否定してくるパターンがあるんですね(まあ、逆のパターンももちろんあります)。
もし、施主のあなたが地鎮祭を実施したいと思っているのに、周りにそう言ってくる人がいたらこう言ってあげてください。
「5万円をケチるほど困ってないので。」
だいたいこれで解決です。価値観の違いを縮めようという努力はだいたい徒労に終わるので、無駄な議論はしないのがベターです。
我が家の地鎮祭
前置きが長くなりましたが、我が家の地鎮祭について書いていこうと思います。
本来地鎮祭は、その土地の氏神様を祀る神社の神主さんに実施してもらうのがベストです。しかし、神職常駐の神社がそのへんにポロポロあるわけでもなく、我が家の氏神様神社も神職非常駐神社でした。手配すれば管轄神社から神職を呼べるのですが、コロナウィルスの関係もあるので、今回は略せるところは略そうということで、ヘーベルハウス川崎店で手配をしてもらうこととしました。
ヘーベルハウス川崎店で手配をしてもらうと、横浜の星川杉山神社さんから神職が来てくれます。
この神社は、おおよそ1200年の歴史を持つ神社らしいです。御祭神は『日本武尊』。
偶然にも我が家には、草薙の剣(と私が勝手に命名した旅行先で買ってきた模造刀)があるのですが、これもなにかの縁ですね。
当日の動き
当日の予定としては、
- 13時に集合して地鎮祭を執り行い、40分程度で終わり
- 縄張りと工事図面の最終確認
- 近隣への工事挨拶
- 解散
という流れになっています。
本来であれば、工事関係者としてヘーベルハウスの営業、工事担当責任者、現場監督、各職長が来るはずだったのですが、コロナの影響もありますので最小限の人数ということで、営業、工事担当責任者、現場監督だけとなりました。
まあ、最初ということもあり、神職とヘーベル側の3名にとエビスビールの350ml缶6本パックを4つ持っていきました。
缶ビール程度で気持ちよく仕事してくれるなら、私はいくらでも持っていきます。
ただ、これ全部で24缶なので持っていくのが大変でした。
さて、予定より早めに現地に到着しました。
現地では既に祭壇が準備されていました。
妻は「まさか自分の人生で、こうやって地鎮祭をやる日が来るとは思わなかったなぁ。」なんて言っていました。結婚したばかりの頃はヘーベルハウスが建てられるほどの収入も無かったですしね(笑)
祭壇には、野菜と果物が供えられており、旭化成からは日本酒一升瓶が奉納されています。ところで、お供えされている野菜とかって妙に美味しそうに見えるのは私だけでしょうか。
式次第
地鎮祭の進め方はいろんな家系ブログが解説していますので、ここではあまり詳しく語りませんが、今回神社側でこんな立派な式次第を用意してくれていたので掲載します。
「四方祓」と「地鎮の儀」はクライマックスと言えますね。
「忌鍬」を入れる際、気合を入れて「エイ!」と声を出せるか出せないかであなたの漢が判断されますので、要注意です(嘘です)。
この「エイ!」には「栄(えい)」という意味があるそうで、この土地で「栄」ための掛け声なんだそうです。絶対にこの土地で幸せな暮らしをするんだ!という決意を込めて声を出していきましょう!トローリー!オー!
なお、最後にお神酒で乾杯をするのですが、コロナ感染対策で今回は省かれました…コロナ許すまじ。
地鎮祭を(ヘーベルハウスに頼んだら)かかる費用
地鎮祭の費用については色々なサイトに書いていますので、ここでは「ヘーベルハウスに頼んで地鎮祭を行う際の費用」について触れます。
ヘーベルハウスと言っても、支店が沢山ありまして…
各支店によってバラツキはあるようですが、「ヘーベルハウス川崎支店」のお話をします。
川崎支店で地鎮祭をお願いすると、
- 神職に初穂料4万円
- 工事担当にご祝儀1万円
という費用がかかります。
熨斗袋は、
こういう一般的なタイプで大丈夫だそうです。これくらいは自分で用意しましょう。
あとは全部ヘーベルハウス側で用意してくれます。
初穂料に4万円?
初穂料に4万円と聞いて、私は最初???と思いました。普通は初穂料として2万、4万といった金額は避けるべき金額と言われています。
ただ、神職には初穂料+1万円のお車代をお渡しすることもあるので、一応旭化成側に熨斗袋を分けたほうが良いか確認したところ、特に不要とのことでした。ああ、定額契約なのね笑
地縄張りと最終図面打ち合わせ
神事も無事終わり、今度はヘーベル側と工事図面と地縄張りの最終確認となります。
図面に関してはいいだけ確認を繰り返してきたので、特に問題はなくスムーズに進みました。
古い土地境界標のコンクリートブロックが出土したようですが、これ以上何も出土しないことを願うのみです(不発弾とか)。
工事の行程などについても説明を受け、我々も立ち会いたい行程の希望を出し連絡体制の確認と携帯番号の交換などを行いました。
早ければ6月上旬にはヘーベル版が飛びそうです。パラパラ漫画にしたいから毎日定点で工事写真を撮って欲しいと無茶振りもしておきました。できる限りがんばりますとのこと。
近隣への工事開始のご挨拶
地鎮祭を執り行わなくても、縄張り確認は必ず実施します。その際に工事開始前の近隣への挨拶まわりをこのタイミングで実施します。
ヘーベルハウスはジップロックと工事案内の手紙を用意していました。
今回我々施主は手ぶらです。なぜなら、先行工事に合わせて事前に挨拶回りを済ませていたから…
地鎮祭まとめ
ここまで、我が家の地鎮祭について書いてきましたが、我が家のパターンだけが地鎮祭の全てではありません。
というわけで、いろいろなメーカーの施主さんの地鎮祭のお話をリンクしていきますので、是非参考に見ていってください。
ヘーベルハウス施主の地鎮祭
我が家と同じヘーベルハウス施主の、るんばーさんの地鎮祭の記事です。この記事よりよほど詳しく書いていますね。最初にこの記事のリンクを貼っておけばいいのでしょうけど、そんなことをしたら私の記事を誰も読まない。
さて、面白いのはるんばーさんのところだと初穂料が5万円だったそうです。るんばーさんがどこの支店のヘーベルかは明かされていませんが、やはり支店によって金額が違うんですね。
住友林業施主の地鎮祭
住友林業の施主からは2名、記事を提供いただきました。
まずは、びびさんです。住友林業施主ブロガー界では有名なお方です。
びび家は地鎮祭に赤いTシャツとジーパンというふざけた格好で出席されたようですが、もう少しマシな格好で出られることをおすすめしますよ…
え?私ですか?白いスラックスに青いシャツと黒いジャケットですよ(リゾート仕様かよ)。
初穂料に関する政教分離と判例について触れているあたりに、いつものびびさんらしくないものを感じているのは私だけでしょうか。
お次は20代で住友林業で注文住宅を建てた猛者、すみトマトさんです。
もうタイトルでバレてますけど、まさかのお供え物がとんがりコーンだったそうです。
まんじゅうとかその土地の銘菓なんかを供えることはありますが、とんがりコーンは流石の私も初耳です。ハウス食品となにか繋がりがある土地なんでしょうか…?
さて、住友林業のお二方は初穂料は3万円だったそうですね。
スウェーデンハウス施主の地鎮祭
こちら、北海道でスウェーデンハウス施主のエゾムースさんの地鎮祭記事です。
私のこの記事に比べたら基本的に必要な情報や役立つ情報、マナーなんかについてもまとまっていてとても良いですね。だからこうやって後半にリンクを貼っているわけですが。
個人的には、スウェーデンハウスってもう本当に日本の家とは思えないくらいに北欧チックな家なんですけど、そのスウェーデンハウスを建てるときに神事をしているのもなかなか想像すると面白いなぁと思いました。
HMを頼らずに自力で手配した方
地鎮祭をご自身で手配された猛者もいらっしゃいました。
レオハウスの施主であられます、chelseaさん。
氏神様のところで地鎮祭するのが当然という至極まっとうな理由ですべてご自身で手配されました。
この手配というのがまたすごくて、神社の境内から竹を切って調達したり、生の鯛を用意したりと凄い!いや、ある意味これが本来の地鎮祭なんでしょうね…コロナであまり大々的にできないからとハウスメーカーパックを利用した自分を恥じました。
珍しい仏式で地鎮祭を自力手配した猛者
全部自力って凄いなぁと思っていたら、更に上がいました。
米陀さんです。大和ハウスの施主さんですが、日頃のお付き合いの関係上神社ではなくお寺にお願いしたそうです。仏式(フランス式じゃないですよ)の地鎮祭はなかなか珍しいので、まさかのハウスメーカーも匙を投げるという(笑)
私が下手に説明するより読んだほうがいい!
全部自力でやるのにこれくらい大変だってのがよくわかります。だって結論「HMに任せたほうがいい」ですから。
ハウスメーカー目線からの地鎮祭についての記事
今度はハウスメーカーの現場監督でいらっしゃるカントクパパさんの地鎮祭解説記事です。
年間50棟近く現場を見ている現場監督ならではの経験に基づき地鎮祭を解説してくださっています。
そりゃ普通は地鎮祭ってやっても一回ですからね。
全体的な流れから、施主として心配な点についてもきちんと解説されているさすが慣れてらっしゃるという記事です。
そもそも地鎮祭をやるかやらないか
ハウスメーカーは明かされていないですが、地元工務店で建てられたというちかどころさんからは、面白い観点の記事をいただきました。
そもそも、地鎮祭やるの?っていう現代ならではの疑問から、注文住宅オーナーがたくさん集まるTwitterでアンケートを取られた結果をまとめています。
また、最近ではあまり効かなくなりましたが風水的な観点で家の設計を気にされる方もいらっしゃるようですね。この点は私も盲点でした。
まあ、鬼門があっても私、神奈川県民は八方除けの寒川神社がありますから、鬼門の防御も完璧です!
セキスイハイムの地鎮祭
最後はセキスイハイムオーナーの八郎さんの記事です。
なんと言っても、まさかの動画!自宅の地鎮祭を動画で公開しちゃう人初めて見た笑
説明なんて不要です。とにかく読んでみてください。
まとめ
というわけで、我が家の地鎮祭は無事に終わりました。
改めていろんな施主さんの地鎮祭の記事を紹介しましたが、皆さんそれぞれで若干違ったり、工夫されていたり、苦労されていたり、面白いですね。
これから注文住宅を建てようという方、是非いろいろな施主さんの情報に触れて、比較検討してみてくださいね。
地鎮祭1つとってもこんなにたくさん情報がありますから。
次回