私は2020年4月現在、武蔵小杉在住です。かれこれ10年近く住んでいます。
武蔵小杉と言えば、住みたい街ランキング関東版で2010年には16位だったのが、2016年には4位に浮上、そして2020年には20位と大幅にランクを下げた街です。
2016年にはゴジラによる被害に遭いました。しかし、順位が下がったのはゴジラによる被害のせいではなく、2019年の台風19号による洪水による被害が原因です。
武蔵小杉とは
武蔵小杉とは、神奈川県川崎市の中腹、多摩川沿いの街です。
江戸時代の東海道とほぼ並行し、旧相模国から武蔵国を結ぶ最短ルートとされた中原街道沿いにあり、宿場町である『小杉宿』としてもにぎわいました。
徳川将軍の鷹狩りの場所ともされ、将軍が泊まった小杉御殿跡も残っています。
江戸と武蔵国を隔てる多摩川を渡す『丸子の渡し』もあり、交通の要所でもありました。
武蔵小杉が人気を集めた理由
この街が注目を浴びた理由は、とにかく鉄道の利便性の高さでしょう。
武蔵小杉に乗り入れている路線(厳密には系統)は、東急東横線、東急目黒線、JR横須賀線、JR湘南新宿ライン、JR南武線です。
しかし、これらの直通運転まで含めると…
東急東横線がみなとみらい線、相鉄線(開通予定)、東京メトロ副都心線、西武池袋線、東武東上線。
東急目黒線が都営三田線、東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道。
横須賀線は総武線、内房線、外房線、成田線、鹿島線の他に相鉄線とも直通。
湘南新宿ラインは重複する横須賀線を除いて、高崎線、東海道線、宇都宮線。さらにスーパービュー踊り子が停車しますので、伊豆急行線に一本。
更に、成田エクスプレスも走りますので、成田空港へも一本です。
武蔵小杉から、東京・品川・渋谷・新宿・池袋・横浜・さいたま・千葉・成田空港など主要駅は乗り換えなしで行けます。途中一本乗り換えを挟むだけで、羽田空港へもアクセスでき、都内の主要な駅へも非常にアクセスしやすいのです。
私の様に一つのオフィスで仕事をしない、様々な現場に回る仕事をしていると、都内要所へのアクセスが良い駅が近いと便利です。
武蔵小杉はこの点で非常に便利な街なのです。
再開発により林立するタワーマンション
工業の街川崎市、かつて公害の街としても全国に名を知られた川崎市、今でも光化学スモッグが出たりもしますが、この武蔵小杉周辺もかつては工場街でした。
しかし、大規模工場が相次いで移転すると、武蔵小杉駅周辺は広大な土地を残しすっからかんになります。
ここで川崎市は是幸いと大規模再開発に乗り出します。
そして、2006年に最初のタワーマンションである、リエトコート武蔵小杉イーストタワー・ウエストタワーが完成。そこからタワーマンションが林立していくこととなりました。
タワーマンションの魅力
武蔵小杉のタワーマンションのターゲット層は若い人です。
全国的に高齢化と人口減少が進む中、川崎市は婚姻率と出生率と人口増加率が上昇しているという稀有なパターンで、これをけん引していたのが武蔵小杉と言われています。
川崎市の人口も増加傾向にあり、東京を除く人口上位ランキング横浜、大阪、名古屋、札幌、福岡の上位5都市の次点である神戸に肉接し、来年にも追い越すと言われています。
川崎は東京と横浜という大都市に挟まれ、ベッドタウンとして絶対的に有利な地勢、富士通や東芝、NECといったハイテクノロジー企業も多く集まるため、世帯年収も高めになっています。
所謂パワーカップルと呼ばれる共働きで世帯年収1400万超えの人口も多く、タワーマンションは売れに売れたという背景があります。
タワーマンションのスペックと価格
2020年4月現在売り出している新築のタワーマンションは、『コスギ・サードアベニュー・ザ・レジデンス』です。38階建て519戸が入居可能。
このマンションの価格帯は、4700万円台~8400万円台とされています。
びっくりする価格かも知れませんが、タワーマンション界隈ではまだ安い方だと言います。
東京湾岸のタワーになると、2LDKで8,000万円超、平均価格が7,000万円とも言われていました。
だからこそ、そこそこ首都圏からも近く、タワーマンションに住みたい若い世代にとって手の届く価格帯の武蔵小杉のタワーマンションは売れました。
タワーマンションの付加価値とは?
タワーマンションは、お部屋の他に共有設備に力を入れているところが多いです。
コンシェルジュがいるのは当たり前、サウナやジャグジー付きのゲストルームや、
プライベートラウンジやジム、託児所やシアタールームがあるところもあったりとホテルライクな生活ができます。
また、何よりもタワーマンションならではの眺望でしょう。
下層階に住んでいても、屋上ガーデンが解放されているので、住民であればだれでもこの眺めを楽しむことができます。
高層階の部屋なら自宅の窓から眺望を楽しめます。
また、基本的に駅近です。遠くても10分以内。
そういった付加価値まで含めてみると、建坪換算はあまり意味がないのかも知れませんが、一応出してみましょう。
お部屋の坪単価
現在売り出し中のコスギ・サードアベニューでラインナップ上一番広い部屋は、79.83平米。坪にすると24.14坪。
この部屋の価格は約8400万円となるので、単純換算で坪当たり348万!!
では、一番安い部屋は?
43.46平米。坪にすると13.14坪。
この部屋の価格は約4700万円なので、単純換算で坪当たり358万!!
上層階で広い部屋より高いじゃん!
坪単価だけで見ると、広い部屋の方がお得ですね。
なお、武蔵小杉の駅近辺の土地平均単価は、坪当たり約226万円です。エリアをしぼると300万超えです。
マンションなので単純計算はできませんが、坪348万円の部屋から上記土地代を引くと坪あたり74万円が建物価格ですね。
戸建て住宅の坪74万といえば、積水ハウスセキスイハイム、大和ハウス、住友林業、パナソニックホームなんかが射程圏に入ってきます。いや、実際70万円台で建てるのはなかなか大変なんですがね…
とはいえ、単純に坪単価で考えると、坪100万を超えるハウスメーカーが高級だ~なんて冗談にしか聞こえないレベルの価格帯なのがタワーマンションです。
夫婦二人で住むには24坪あれば事足りるかも知れませんが、でもやっぱり狭い。
タワーマンションには部屋の狭さを補って余りある魅力がある
タワーマンションの宣伝をしにきたわけではないのですが、私の友人の何人かもタワーマンションを購入して住んでいるので、生のお話を色々聞けますし、遊びに行ってその部屋の凄さや生活の一端を垣間見ました。
私の独断と偏見による魅力は以下の通りです。
- とにかく駅に近いので通勤に便利
- 眺望・夜景が美しい(多摩川他の花火大会が家から眺められることも)
- コンシェルジュがいるので、宅配便の不在再配達から解放される
- 基本的に住宅設備は高グレード
- 共用設備が充実しているので色々便利
- ある程度のリセールバリューも望めるので、資産価値も高い
都会で生活する上で、タワーマンションは非常に便利だと思います。
タワーマンションのデメリット
今まで良いところばかりに着目してきましたが、逆にデメリットは?という点では、いろんな方が書きつくされているので一般的なお話をしますと…
- 管理費が高額
- 修繕積立費用が高かったり、年々増加する場合がある
- 居住世帯数が多いので、意外と便利な共用設備が使えないケースもある
- 災害に弱い
分譲マンションであれば、タワーだろうが通常の低層マンションであろうがついて回るのが管理費と修繕積立金です。
管理費は戸建て住宅にはない出費になりますが、修繕積立金は戸建て住宅でも必要な出費です。ヘーベルハウスでは30年後に400万円かかります。
ただ、修繕積立金は通常のマンションに比べて高額になります。そりゃあ、高層マンションですので、修繕作業をする諸君の人件費も高くなるのは想像に難くないと思います。
また、魅力の中で触れた共用設備の質の高さなどについて、居住世帯数が多いので、限られた数の共用設備の予約が取り辛いようです。また、エレベーターも朝の通勤時には非常に混むようです。これはオフィスビルでも同じことが起きてますね…
最後に、災害に弱い。これは実際に2019年の台風19号で洪水に遭ったタワーマンションが、地下の電源設備が浸水して使えなくなったことで、生活できないレベルの被害を被ったことで顕在化しました。
武蔵小杉、タワマン、台風19号で調べたら沢山出てくると思います。
参考に一つ記事を引用しておきます。
我が家がタワーマンションを選ばなかった理由
さて、ここまでタワーマンションについて語ってきましたが、我が家はタワーマンションではなく戸建て注文住宅を選びました。
我が家は共働きで、子供もいない上に、所謂パワーカップルの要件を満たす世帯収入があります。
デベロッパーとしても我が家は正にターゲットになる層となりますが(冷やかしで見に行ったら凄い大変でした…)、タワマンは買いませんでした。
その理由について書いていきます。
マンションと戸建て住宅の比較
ネット上や住宅雑誌系では度々目にすると思います。「マンションと戸建て住宅、どちらを買うべきか?」
これは永遠のテーマですが、私に言わせてもらえばナンセンスな問いかけです。
新幹線と飛行機どっちがいいか?と聞いているようなもので、目的は一緒(特定の場所に移動する)でも、手段が全然違うわけです。新幹線が空を飛べるなら、飛行機と比較しても良いのでしょうけれども、単純比較できるわけではない。
マンションにはマンションの良さ、戸建て住宅には戸建て住宅の良さがあるわけです。そして、それぞれにそれぞれのデメリットもあります。
マンションにするか、戸建て住宅にするか?この答えは、自分の胸に手を当てて考えればよいのです。
つまり、どういうライフスタイルを歩みたいかで考えれば良い訳です。
もっと言うと、賃貸か持ち家かにも同じことが言えます。
というわけで、このブログではマンションか注文住宅どちらにするか悩んでいる人に対して、「注文住宅がいいですよ!」と奨めることを目的としていません。
我が家のライフスタイルに照らし合わせたら、こういうポイントでマンションではなく戸建て住宅の生活を選んだということを参考に、今現在マンションにするか戸建て住宅にするか悩んでいる方には参考にしていただきたいと思います。
我が家のライフスタイル
楽器をやります
私たち夫婦は趣味で楽器を嗜みます。夫である私は主に弦楽器系を。妻は木管楽器を吹きます。
楽器OKのマンションは増えてきましたが、正直まだあまり数は多くありません。
練習とかしたいときは、スタジオやカラオケ屋に行くしかなかったので、自宅が防音仕様ならいいのにとは何度も思いました。
分譲マンションでも後付け防音室を設けることはできますが、注文住宅なら始めから防音室をつけられます。お部屋を防音仕様にすれば楽器以外の用途にも部屋を使えるメリットがありますね。
車やバイクを趣味にしています
これは好きな人にしかわからないかも知れませんが、車やバイクを大切にしている人はマンションの様な集合住宅は正直嫌なはずです。
まず、バイクは下手をすると駐輪場で自転車とバイクが一緒にされることもあります。
正直自転車は雑な人の方が多いので、バイク含めて他の車両に当たることを何とも思わない人が多いです。そんな所に大事なバイクを置きたくないものです。
バイク専用駐輪場であったとしても共同ですので、整備とかができないケースも多いです。そして、基本的に自分の目の届かないところに置いているので、盗難の危険もあるわけです。
車も同様です。共同駐車場なので整備や洗車も自由にできないし、エレベーター式の駐車場ならまだしも、平屋式だと隣の車と隣接しているので、隣の車のオーナーが雑だとドアパンチやら荷物の引っかけやら、さらに悪いと車をぶつけられたりする恐れもあります。
必然的に戸建てで自分専用のガレージスペースが欲しくなるモノです。
実は駅近物件は好きではない
多くの人は駅から近いことを重視すると思います。しかし、我が家は駅近物件を賃貸も含めて避けてきました。その理由とは?
駅の近くというのはどうしても商店街だったりの商業施設があります。
商業施設は確かに必要なものですが、居住地と隣り合わせだと何かとうるさい。
ある程度の静かさを住環境に求めるなら駅から多少距離があることが望ましいわけです。
この点は立地条件なので、戸建てだろうがマンションだろうが、立地で選べばよいわけですが、基本的に武蔵小杉タワマンの場合は駅からのアクセスが良いのが売りの一つだったので、除外対象となりました。
飲食店が近いと、金曜日の夜とか家の前(マンションのエントランス前含む)でゲロとかありますからね。
駅から遠いと、歩くの辛くない?とか、雨の日大変じゃない?と聞かれますが…
基本的に毎日歩く習慣は必要だと思います。なので、通勤を運動代わりにしているし、雨とか降って歩きたくないときは…
「歩くのがだるければ、タクシーに乗れば良いじゃない」
我が家はマリー・アントワネット流を適時取り入れるようにしています。
地面が欲しかった
マンションの最大の特徴は、持ち家といえども区分所有者でしかなくて、万が一大災害やゴジラでマンション自体が住めないくらい損壊した場合、何も残りません。
戸建ての場合、借地でもない限り基本的に土地は自分のモノです。
仮に大災害で家がなくなっても、土地に最悪プレハブでも立てれば雨風を凌ぐことはできます。再スタートをするための拠点は残る。
この点を考えると、自分専用の地面が欲しかった訳です。
まとめ
というわけでダラダラ書いてきましたが、タワーマンションは実際とても魅力的で、素敵な生活が見えます。私の友人もタワーマンションで充実した生活を送っています。
でも、私は
マンション生活というライフスタイルが欲しくなかった。
だから、マンションは買わず注文住宅にした。
ただそれだけなんですね。
メリット・デメリットを比較して、マンション対戸建て住宅対賃貸住宅ってよくバチバチやってますけど、私から見たら無益な戦いなんです。
あなたの価値観に最も合う選択肢となるのはどの居住スタイルなの?
この点で考えるのが良いと思いますよ。