注文住宅を契約してから実際に引き渡されるまでの行程について、前回はハウスメーカー選びから建築請負契約までの行程について書かせていただきました。
まだ読んでいない方は以下の記事を読んでみてくださいね。
今回は、いざ建築請負契約を締結して着工までの間の「詳細設計」行程について記載していきたいと思います。
建築請負契約締結後にやらなければならないことのフロー図
建築請負契約締結から、実際に着工までの行程を以下にフロー図としました。あくまで旭化成ヘーベルハウスの場合ですので、メーカーによっては細かい順番が違うケースもあります点をご了承ください。
着工までに行う重要な工程
着工までに行う大きな二つのイベントは以下の通りです。
- 建築確認申請
- 住宅ローン契約
住宅建築に限らず、日本では建築物を建てる際には『建築確認申請』というものをお役所に届けて、建築基準法に沿った建築物であるということを確認してもらわないと建築物を建てることはできません。
これは建売住宅やマンションでも、ビルダーが事前に確認申請を通して完成した建物を売っているので、実は同じ工程を踏んで出来上がったものを買っています。
注文住宅は、自分の希望通りの設計を家を設計しますので、その設計で建築確認を通さないとならないわけです。
この工程は実際に大工さんに家を建ててもらうための設計図を完成させる工程ということです。
基本的に着工したら、設計の変更はできないと思っておくようにしましょう(できないことはないですが、ややこしいことになりますし、工事中に追加料金とかのお話になったり工期が伸びたりで引き渡しが伸びることになったりします)。
またもう一つのイベントが、住宅ローンの本審査と金銭消費貸借契約の締結です。
家をキャッシュで買う人には関係ないですが、この工程で正確な建築費用がFixしますので、その金額で住宅ローンの契約を行います。
この二つが完了して初めて着工できるわけですので、この二つを完了するための行程が詳細設計行程になります。
建築確認申請
請負契約締結をもって、正式にそのハウスメーカーに住宅を建ててもらうという契約が成立しますが、前回の記事にも書きましたが契約時点では概算見積もりで契約していることになります。
契約後の詳細設計行程にて、トイレやキッチン等の水回りの住宅設備やら、内装の壁紙やらなんやらと細かいことを決めていきます。
ただ、この工程で真っ先に決めなければならないのは建築確認申請に関連する項目です。
建築確認申請が通った後でも、変更申請を出すことはできますが、変更申請には追加でお金がかかるケースもありますので、なるべくなら一発で通してしまった方が費用面ではメリットは大きいです。
どの程度の変更なら追加費用がかからないのか?
本当はもっと細かい項目が沢山あるのですが、間取りを考えるうえで引っ掛かりそうなポイントを下記に示します。
- 建物の高さ
- 延床面積
- 壁(間仕切り壁含めて)
- 屋根、外壁、防火戸など
- 窓やドアの位置や大きさ
- 天井の高さ
一度申請を通した後の変更申請にも二通りあって、「計画変更の確認申請」と「軽微な変更届」に分けられます。
ハウスメーカーにもよりますが、「軽微な変更届」に収まる範囲なら追加料金が取られないケースは多いようです。
軽微な変更届と計画変更の確認申請の違い
計画変更の確認申請とは何かといいますと、法的な観点でチェックし直さなきゃならない変更があった場合の確認申請です。ざっくりいうとやり直しってやつです。
大雑把に言うと、申請段階よりも建物や部屋が大きくなると、「計画変更の確認申請」が必要になると思っておいた方が良いです。また、窓が増えるとか減るとかもこのあたりに引っ掛かるケースがあります。
逆に「軽微な変更届」で済むケースは、最初の申請よりもサイズダウンの場合です。
また、川崎市なんかは準防火地域が多いのですが、防火仕様の性能が更に良い窓やドアに変更する場合は、軽微な変更で済む場合もあったりします。
このあたり、担当設計士にきちんと確認しながら進めることをお勧めします。
最初の申請の段階で広めに大きめに計画しておいて、後から費用削減のためにサイズダウンというやり方が良いのかもしれません。
ちゃんとした担当者であればこのあたりの注意点をきちんと伝えてくれますが、間取りなどのやり取りが主に営業担当とだけ進めている場合は、この辺の考慮が足りない場合がありますので、「計画変更の確認申請」が発生しないよに進めたいときちんと伝えるようにしてください。
住宅ローンの本審査
請負契約が終わっているということは、(普通の業者なら)住宅ローンの仮審査が通っている状態です。
詳細設計行程に入るにあたって、住宅ローンの本審査に向けて本審査書類をすぐに作成することになります。
住宅ローン本審査の注意点
実は私、昔ノンバンク金融(所謂サラ金というやつ)で働いていたことがあります。
住宅ローンは私の仕事ではなかったのですが、融資審査についてはある程度知見があるのでその点も踏まえてのお話になります。
住宅ローン本審査で注意したい点は、以下の通りです。
- 審査時の融資希望金額よりも高い金額を借りたい場合は審査を最初からやり直す必要があると思っておくこと
- 逆に融資希望額よりも少ない金額であれば全く問題ない
- 住宅ローン仮審査から融資実行までの間は、クレジットカードの新規発行やキャッシングの利用、分割払いの利用、自動車のローンを含めた新たな金融契約は一切行わないこと
審査してもらう金額よりも高い金額は再審査
1.については、常識的に考えればわかることだと思いますが、1000万借りたいと申し込んできた人に対して銀行は、1000万返済できるだけの返済能力があるかどうかを見て審査しています。
1000万の融資はOKと審査結果が出ていたとして、実際に契約の段になってやっぱり1100万借りたいと言い出されたら、1000万の与信しかしてないのだから、1100万の審査をしなければならないわけです。
全員にとって無駄な手間を増やすだけですので、住宅ローン審査に出す金額はきちんと考えて決める必要があります。
審査が通過した金額よりも少ない金額を借りるのは全然OK
2.については、1.の件もあるから審査した金額から変更はできないと思いがちですが、1.の理屈で言えば「1000万まで貸せます!」という与信が下りているので、申込者が契約の段になって「やっぱり900万で足りるから、900万だけ貸してください」と減額させるのは何ら問題はありません。だって、1000万返せるって判断されたのだから900万でも返せるでしょう?
ですので、自分が返せる目いっぱいの金額で住宅ローン審査を通しておいて、その金額の中から実際に必要な金額分だけローンを組むというのも一つのやり方かもしれませんね。(我が家も予定見積よりも300万円ほど高い金額で審査を通しておきました。)
仮審査から融資実行までの間に金を借りるな
住宅ローン仮審査を行う際に、信用情報を参照して審査します。
この信用情報というのは、クレジットカードや銀行ローン、いわゆるサラ金などの金融取引情報が登録されているものになります。
詳しくはこちらを参照してみてください。
すごく大雑把に言いますと、金融機関というのは例えば年収500万円の人に対して、いくらまで貸せるかという基準をそれぞれが持っています。
例えば年収の10倍まで貸せるという基準であれば、年収500万だと5000万まで貸せるという基準です(実際はここまで単純ではありませんが、わかりやすくするために単純化していますのでご了承ください)。
しかし、これはあくまで他に返済がない場合に限った話で、例えば自動車ローンを組んでいて300万のローンを組んでいたら、5000万まで貸せる年収だけど、自動車ローンの300万円分を引いて、4700万までしか貸せないということになります。
先ほど紹介した信用情報機関には、いついくら借りたのか?現在残高はいくらか?毎月きちんと遅れずに払っているか?がすべて記録されており、住宅ローン審査では大まかに3回これを確認します。
- 1回目が住宅ローン仮審査の時
- 2回目が住宅ローン本審査の時
- 3回目が住宅ローン実行直前
住宅ローン仮審査に通った段階では他に借り入れがなかったとしても、本審査までの間にキャッシングを使ってしまったとか、カードで分割払いをしてしまったとします。
本審査の時にはこのキャッシングや分割払いの情報が出てきて、それが融資可能金額を引き下げてしまったり、厳しい銀行だと金額如何を問わずに審査否決というケースもあるようです。
ですので、住宅ローン仮審査から融資実行が完了するまでは、たとえ少ない金額だとしても新たな借り入れはしないように注意しましょう。
意外と盲点になる借り入れ例を以下に何点か上げてみますね。
- クレジットカードの分割払い
- 携帯電話の機種変更を分割にした場合
- クレジットカードのリボルビング払い
クレジットカードの分割払いは立派な借金ですので、審査に響きます。
また、携帯電話の機種変更で機種代を分割にできると思いますが、実はあれもクレジットカードの分割払いと同じ扱いで、信用情報に記録されます。携帯料金の支払いが遅れると延滞情報として記録されるので、住宅ローンどころかクレジットカードすら作れなくなるので注意してください。
また、住宅ローンを組もうと思っていたら、クレジットカードのリボルビング払い設定は解除しておきましょう。
今回のまとめ
ここまですごく長くなってしまいました。
最初のフロー図で言うと、詳細設計行程①までしか書けませんでしたね。
続きは次回③として書きます。
今回のまとめは…
- 建築確認申請に出す時点で、部屋の大きさや窓の数、住宅設備のサイズは決めておくこと
- 確認申請に出した時よりもサイズが大きくなったり窓の数や大きさが変更になったり部屋数が変更になったりすると、もう一回確認申請を出すから追加料金がかかることがあるよ
- 住宅ローンは仮審査に出したら、新たにお金を借りちゃだめだよ(本審査通らなくなるよ)
次回は、設備決定やらインテリア決定やら外構決定のお話になります。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
これから家を建てようという人の参考になればうれしいです。
次回